ブリの養殖と天然の違いは何を比較するか。大きな違いが出るポイントは「味・栄養・価格・時期」の4つ。
養殖は比較的一年を通じて安定して提供できるのに対して、天然ものは時期によって味や栄養価にかなり違いでてきます。
天然のブリの旬は冬。「寒ブリ」と評される脂がのって美味しい時期は12月~2月ぐらいまでの間。産卵や栄養のため込まれて、脂がのり、潮流に逆行する動きで身が引き締まり、芳醇な脂と身の味わいに深い旨みが蓄えられます。反対に産卵後はスカブリとよばれるほどゲッソリとやせてしまいます。
時期で左右されない安定的な養殖と旬でかなり差がでる天然といえるでしょう。
ブリの天然と養殖で違うが出やすいポイント
| 味(身の状態) | 身の引き締まり度合い・たんぱく質 |
| 味(臭み) | ブリ独特の臭み |
| 栄養(脂ののり) | 脂ののり・DHA・EPAの含有量 |
| 栄養(微量栄養素) | 栄養素のバランス・特にビタミンミネラル |
| 価格 | 価格の違い |
| 旬の時期 | 時期により差がでる |
| アニサキス | アニサキスの寄生の可能性 |
天然ブリと養殖ブリで違いがでやすいポイントは7つ。身の引き締まり・臭み・ビタミンミネラル・価格・旬の時期・アニキサスの存在です。差が出る要因になるのは「旬の時期」。旬の時期は天然ブリが圧倒的に良さを出しますが逆に時期がずれるとやせてしまい強みは大きく後退します。
時期によるブレがないのが養殖ブリ。一年を通して品質は安定しています。またブリが苦手な要因になりがちなのが「臭み」。特にブリの臭みは「土くささ」のような特有の匂いがあり、食べた後に口に残るあの匂いがいやでブリを食べないと聞くことも。この匂い、養殖では餌を工夫して改善されておりかなり食べやすくなっています。
事項にそれぞれの強みをまとめました。
養殖のブリ(安定の品質)
たんぱく質は天然とほぼ変わらない・カロリーは高め。脂が多いため
エサをしっかり食べて運動量が少ないため、脂質が非常に多い・現代の養殖ブリは進化・栄養価の面では天然を上回る部分も多い
餌によって匂いを減らす工夫をされているブリ養殖もある
1年中脂がのっており、身が柔らかく甘みがあります・身の色が白っぽい・一年を通して品質が安定している
養殖は年間を通して価格が安定している
管理されたエサを食べているため、アニサキスの心配がほぼない・生のお刺身やブリしゃぶを安心して食べられる
やはり時期を問わず安定した味と価格を維持しているのが養殖ブリの強み。
意外に注目したいのがアニサキスの存在、アニサキスは別の魚介類に含まれているアニサキスを食べることで食物連鎖の上位にたまっていきます。ブリはなんでもたべかちな雑食系の肉食です。イワシやイカを好んでいるため、どうしてもアニサキスの寄生率は高くなってしまいます。半面、養殖は餌はしっかり管理されているため、リスクはだいぶ下がります。
天然ブリの比べて価格も安定してるのも、養殖ブリを身近な魚にしてくれてますね。
天然のブリ(時期で化ける)
激しい潮流の中を泳ぐため、身が引き締まっている・養殖に比べて脂質が少ない・相対的に高タンパクで低カロリー・身の色は赤みが強い。運動が活発な影響・養殖より力強い旨味がある
多様な天然のエサを食べているため、微量栄養素のバランスが良い・ビタミン・ミネラルの栄養価が優れていて、微量栄養素のバランスが良い
天然の色々な餌を食べているので特有の「磯の香り」が強い場合もあり。
旬の冬の時期はかなり美味しい・時期外れは脂が落ちる
天然の「寒ブリ」は非常に高価なブランド品
アニサキスが寄生している可能性があるため、生食の際はプロの目利きや適切な処理が必要
天然ブリの特徴は12月~2月ごろの旬に爆発します。とにかく美味しい、脂ののった身の引き締まった身は、サーロインステーキや大トロと同じな、口どけの触感と肉の旨みを楽しめます。
問題をあえていえば、価格と臭みとアニサキスでしょうか。天然ブリは養殖の数倍は高くなります。ブランドのある産地ものだと、スーパーにいかずに料亭や専門店に直送で、なかなか手に入れずらくなります。臭みも、いろいろなモノを食べているため、臭くなる確率も高くなりがち。また天然の餌からのアニサキスの寄生率も高くなってしまいます。もし刺身で食べるなら、専門の調理ができる経験値が高い店で食べたいですね。
強みをまとめた天然と養殖ブリのまとめ表です。
| 身の締り・旨み | – | 強い |
| 脂ののり | 年中安定 | 冬は特に豊富 |
| ビタミン・ミネラル | – | 豊富 |
| 臭み | 弱め | 強め |
| 価格 | 安い | 高い |
| 旬・時期 | 比較的安定 | 冬 |
ブリの旬はブリの回遊サイクルがつくっている
ブリの一生がわかると旬がみえてきます。ブリは日本の南で生まれ、春から秋にかけてイワシやイカを追って黒潮とともに北上し、寒くなってくると再び日本海経由か太平洋経由で南の海にもどっていきます。一年サイクルで繰り返し、寿命は約6~7年。
戻ってくる時がちょうど12月~3月にあたり。ざっくりいうと北の北海道から南の海を目指してもどり、その途中の日本海の富山あたりや太平洋の駿河沖・銚子沖で捕獲されたのが寒ブリとよばれています。産卵や移動に備えて、たっぷりと栄養と蓄えた状態で捕獲されます。
そして産卵し、南の海で越冬してから再び北上してきます。
こういう背景を知ると、なぜ天然のブリの12月~2月が旬といわれるのかがわかりますね。
なんだか、南の故郷にかえる時に途中で捕まえてしまうのは何だかかわいそうな気がしますが。
養殖はこの壮大な回遊がないのですから、身の引き締まりに差がでるのはよくわかります。
ブリは出世魚
ブリは出世魚と呼ばれ、生育の大きさに名前が変わる魚です。
※詳しくは「ブリは出世魚とききますが覚えられません!」)
関東:カシ → イナダ → ワラサ → ブリ
関西:ツバス → ハマチ → メジロ → ブリ
80cm以上に育ったものがブリと呼ばれています。
安定の養殖・時期ではねる天然
あえていうなら
手軽に時期を問わない安定の品質なら養殖
季節の贅沢を味わうなら天然
といえるでしょうか
